犬はどう生きたい?|第1話
先日、部屋のあちこちにおやつを隠して、
ラムと「お宝探しゲーム」をしていました。
必死にクンクンしながら、
一つひとつ見つけていくラム。
そのとき、玄関のチャイムが鳴りました。
「ピンポーン」
ラムはすぐに反応して——
「ワンワン!!」
…でも同時に、
「クンクン」もやめません。
「ワンワン」しながら
「クンクン」を続ける姿に、
思わず笑ってしまいました。
もしかしてラムの中では、
「お宝探し」と「お知らせ係」
どちらも“仕事”だったのかもしれません。
犬はときどき、
「何か手伝うことありませんか?」
そんな顔をします。
ラムを見ていると、
そう感じることがあります。
実は私は、20代のころ
保育士をしていました。
その保育園は少し珍しくて、
3歳児から5歳児まで
同じ担任がずっと同じ子どもたちを受け持つ
という仕組みでした。
ある年、4歳児から入園してきた男の子がいました。
Jくんです。
Jくんはとても人見知りで、
あまり話をしない子でした。
お友達ともあまり遊ばず、
朝の登園のときは
「保育園に行きたくない」
と泣いたり、暴れたりすることもありました。
そんなJくんに変化が起きたのは、
お遊戯会の練習が始まったころでした。
私は毎日、給食が終わると
急いで片付けをして、部屋の掃除をしていました。
午後にはお遊戯会の練習があるので、
いつも少し慌ただしかったのです。
そんなある日、
Jくんが、お遊戯会で使う道具を
一人で黙々と運んできてくれました。
私はとても嬉しくて、たくさん褒めました。
すると次の日も、Jくんは同じことをしてくれました。
それを見ていた周りの子どもたちも
「手伝う!」と言って、
一緒に道具を運んでくれるようになりました。
気づけば毎日、
私が掃除をしている間に子どもたちが
お遊戯会の道具を全部用意してくれるようになっていました。
そのころから、Jくんは
「保育園に行きたくない」
とは言わなくなりました。
むしろ、
保育園に来るのが楽しみになったそうです。
私はそのとき、思いました。
人は
「自分の役割」を見つけると、
変わるのかもしれない。
そして最近、
ラムを見ていて同じことを思います。
犬も、
一緒に何かをすることが好きです。
おもちゃを持ってくる。
探す。
運ぶ。
トリックをする。
それはただの遊びではなく、
もしかすると
「仕事」なのかもしれません。
ラムにも、一つ仕事があります。
それは、インターホンです。
ラムは、インターホンが鳴ると吠えます。
最初は
「吠えちゃだめ」
と言っていました。
でも、あるとき思いました。
お風呂に入っているとき、
洗濯物を干しているとき、
インターホンが聞こえないことがあります。
そんなとき、ラムが吠えてくれると
とても助かるのです。
なので私は、
吠えたあと
「ありがとう」と褒めるようにしました。
ラムは、すぐ吠えやみます。
たぶんラムの中では、
「お知らせ」が仕事なのだと思います。
パパさんが帰ってきたときも、ラムは吠えます。
でも、帰りが遅い日は
ラムはもう寝ています。
そんなときでも、
ベッドの中から
「ワン」
「ワン」
最後は、途切れるように
「ヴァウ…」
そしてまた寝ます。
たぶん、
「アタチの任務、果たしましたから」
という感じなのだと思います。
犬は、
飼い主の役に立つこと、
一緒に何かをすることを、
とても嬉しそうにします。
体高30センチの先生は今日も、
「アタチの仕事、終わりました」
という顔で、
こちらを見ています。
🌿次回は、「役割」と「自信」がどうつながるのかを、ラムと一緒に考えていきます。
