ラムは、4.5kgのジャックラッセルテリアです。
散歩をしていると、
よくこんな言葉をかけられました。
「ジャックにしては小さすぎるね。」
「細いね。」
「うちは1歳過ぎてからもどんどん大きくなったよ。」
「なんで大きくならないの?」
「ちょっと一緒に遊ばせるの、怖いな。」
悪気がないことは、分かっていました。
それでも、その一言一言が、
胸の奥に静かに刺ささっていきました。
私は笑っていました。
「そうなんです、小さいんです。」
そう答えながら、心の中では何度も問いかけていました。
私はちゃんと育てている?
どこか間違っている?
家に帰ると体重を量り、
フードの量を見直し、
成長曲線を何度も検索しました。
“普通”は何キロ?
“平均”はどのくらい?
いつの間にか、
目の前のラムではなく、
数字ばかりを見ていました。
悔しかったのだと思います。
ちゃんと向き合っているのに。
大切にしているのに。
それでも、どこか
「足りていない」と言われている気がして。
不安になって、
複数の獣医師さんに相談しました。
トレーナーさんにも聞きました。
みんな、同じことを言いました。
「個性ですよ。」
「まったく問題ありません。」
その言葉を聞いたとき、
胸の奥がじんわりと温かくなりました。
ああ、守れていたんだ。
でも同時に、
少しだけ自分が情けなくなりました。
どうして私は、
目の前で全力で走るラムよりも、
“他人の普通”を信じかけてしまったのだろう。
ラムは、何も気にしていませんでした。
小さな体で、
誰よりも堂々としていました。
私の顔を見上げる目は、
いつもと変わらないままでした。
あの頃の私は、
ラムの体の大きさではなく、
“人の言葉”に揺れていたのだと思います。
今でも正直に言えば、
あのときの言葉を思い出すと、
少しだけ胸が痛みます。
でも今は、こう思います。
4.5kgという小さな体は、
ラムの弱さではない。
それは、
私に「比べない」ということを教えてくれた、
大切な個性でした。
ラムは今日も、
堂々と4.5kgのままで歩いています。
揺れていたのは、
ラムではなくーー
私の心のほうでした。

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